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2023年06月28日

こんなときどうする?口腔外科について解説!~腫瘍編~

良性腫瘍

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腫瘍の確認


エナメル上皮腫
この腫瘍は歯原性に由来するもので、その中でも最も一般的なものです。時に、腫瘍の一部または大部分が包まれた嚢胞のような形状をしていることもあります。特に下顎の後方部など、顎骨内に発生し、増大すると顎骨が隆起し、容貌に変化が現れます。

【原因】この腫瘍は、主に歯の芽の内部にあるエナメル器として知られる部分が腫瘍化することによって発生します。

【治療】この腫瘍を取り除くには手術が必要です。腫瘍が大きい場合、顎骨の一部を切除したり、腫瘍のサイズを縮小させる開窓療法を行った後に摘出手術が行われます。手術後に生じる骨の欠損箇所に骨移植が必要となる場合もあります。

歯牙腫
歯牙腫は、歯の芽の発育異常によって引き起こされる組織の形態異常であり、厳密には真の腫瘍ではありません。一般的には、集合性歯牙腫と複雑性歯牙腫の2つに分類されますが、どちらも腫瘍内に歯の組織を含んでいることが特徴です。

この疾患は通常、症状がなく、偶然にX線検査などで発見されることがよくあります。腫瘍はゆっくりと成長しますが、大きくなると顎骨が膨隆し、歯の位置も異常になる可能性があります。治療としては、摘出手術が行われます。

非歯原性良性腫瘍
歯に関連しない良性腫瘍は、他の部位で発生する良性腫瘍と同様に考えられます。口腔、顎、顔面でも多くの種類の良性腫瘍が発生します。

これらの腫瘍の中には、上皮性乳頭腫、非上皮性血管腫、リンパ管腫、筋腫、骨腫、軟骨腫、脂肪腫、線維腫、神経系腫瘍などが含まれます。さらに、病理組織学的に変化したものも存在し、非常に多様な腫瘍が存在します。それぞれに特徴があり、比較的容易に診断されます。血管腫やリンパ管腫の一部を除いて、これらの腫瘍は摘出または切除が行われます。


悪性腫瘍

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悪性腫瘍 


口腔がん

悪性腫瘍は、上皮性の癌腫と非上皮性の肉腫に分類されます。口腔領域では肉腫は非常にまれであり、ほとんどが粘膜の上皮から発生する扁平上皮癌です。

口腔がんは、さらに発生部位によって口唇がん、舌がん、口底がん、歯肉がん(上顎歯肉がん、下顎歯肉がん)、頬粘膜がん、硬口蓋がんなどに分類されます。

特に舌がんは最も頻度が高く、口腔がんの約40%を占めています。また、唾液腺から発生する腺系癌なども見られます。

以上のように、がんという言葉で一括りにされるものでも、さまざまな状況が存在します。しかし、一般的に良性腫瘍と比較して、悪性腫瘍には以下のような共通の特徴があります:(1) 病気の進行が速く、腫瘤や潰瘍が急速に成長する、(2) 腫瘤の周囲が硬くなる、(3) 周囲組織と癒着し、明確な境界がない、(4) 他の部位に転移するなど。

【原因】口腔がんの発症原因として、喫煙や飲酒がリスクを高めることが知られています。また、虫歯や不適切な義歯などによる長期間の刺激も原因と考えられています。さらに、白板症と呼ばれる前がん病変からも口腔がんが発生することがあります。

【症状】口腔がんは、主に50歳以上の男性に好発し、発生する部位やがんの進行度によって、さまざまな症状が現れます。がんの外観からは、白斑型(白く盛り上がっている)、肉芽型(ぶつぶつとした表面)、腫瘤型(こぶのように盛り上がっている)、びらん型(粘膜が剥がれたように見える)、潰瘍型(深くえぐれた状態)などに分類されます。これらの形態は外見が不格好で、しこりや硬結があり、時に出血や痛みが伴います。

がんの進行に伴い、咀嚼や嚥下、さらには発音に障害が生じ、口の開け閉めが困難になる(開口障害)こともあります。また、頸部のリンパ節に転移し、リンパ節が腫れることもあります。進行すると肺や骨、肝臓など他の臓器にも転移し、全身的な症状が現れるようになります。

【治療】口腔がんの治療は、がんの発生部位や進行度、組織の特徴などを総合的に評価し、治療方針を決定します。一般的な治療方法には、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つがあり、これらを単独または組み合わせて行います。頸部のリンパ節に転移がある場合は、頸部郭清術が行われることもあります。また、原発巣の切除範囲が広範囲な場合には、他の部位からの組織移植による再建手術も行われます。

治癒率は、口腔がんの発生部位や進行度によって異なりますが、口腔がん全体の5年生存率は60~70%程度です。早期の段階での治療では、ほとんどの症例が治癒する可能性がありますので、恐れずにできるだけ早期に専門医の診察を受けることが重要です。

悪性黒色腫
悪性黒色腫は、主に50歳以上の中高年齢者によく見られ、男女間での発生には性差はありません。一般的には硬口蓋と上顎歯肉によく発生しますが、下顎歯肉や頬粘膜などでも生じることがあります。

悪性黒色腫は、さまざまな形状や大きさの黒褐色の腫瘤として現れますが、場合によっては明らかな着色が見られないこともあります。

この疾患はリンパや血液を通じて広がりやすく、予後は非常に悪いものとされています。

一般的な治療法としては、リンパ節の除去を含む外科手術が主要な方法です。放射線治療、化学療法、免疫療法なども補助的に行われる場合があります。

悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、リンパ系組織から発生するがんであり、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2つに大別されます。さらに、腫瘍細胞の性質に基づき、T細胞性、B細胞性、NK細胞性の3つに分類されます。日本人においては、非ホジキンリンパ腫が最も一般的であり、特にB細胞性リンパ腫が多い傾向があります。

悪性リンパ腫は、リンパ節内に発生する場合を節内性、リンパ節以外の臓器組織で発生する場合を節外性と区別しています。日本では節外性リンパ腫が40〜50%を占めており、組織学的にはび漫性大細胞型B細胞性リンパ腫が最も多く見られます。ホジキンリンパ腫や濾胞性リンパ腫はまれな症例です。

口腔領域では節外性リンパ腫が多く見られ、歯肉、上顎洞、顎骨などに発生することがよくあります。この疾患の臨床症状は多岐にわたり、腫脹や腫瘤の形成、潰瘍、疼痛、歯の動揺、鼻づまりなどがみられます。ただし、これらの症状は悪性リンパ腫に特有のものではないため、組織診断のために生検が不可欠です。節内性の場合は頸部や顎下リンパ節が無痛で腫大し、単発または多発性の腫瘤となることがあります。これらは急速に増大し、周囲組織と癒着したり、極端に拡大すると嚥下障害や呼吸困難などの症状が現れます。

悪性リンパ腫の治療には、血液内科などの専門家との協力のもと、複数の抗がん剤を使用した化学療法や放射線治療が単独または併用されることが一般的です。