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2024年08月17日

歯が痛い…その原因と対処方法は?~痛みの種類と原因編~

「歯が痛い」これは誰もが一度は経験があることではないでしょうか。
多くの人が思い浮かべるのは虫歯だと思いますが、実は歯が痛いという症状の原因には虫歯以外の理由が存在します。本日は「歯が痛い」ということを深堀して解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

虫歯による痛みの場合

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虫歯による歯の痛み

虫歯による痛みは、歯の状態や虫歯の進行度によって異なります。

1. 初期の虫歯

初期の虫歯では痛みを感じることは少ないですが、冷たいものや甘いものに対して一時的な鋭い痛みや違和感を覚えることがあります。この段階では、痛みはすぐに収まります。初期の虫歯とは、虫歯がエナメル質に限られている段階で、外部からの刺激が歯の神経に届きにくいため、痛みは軽微です。

2. 進行した虫歯(象牙質に達した場合)

虫歯が進行し、エナメル質を越えて象牙質に達すると、痛みが強くなり、冷たいものや甘いものに対する反応が敏感になります。また、酸性の飲食物にも痛みを感じることがあります。痛みは一時的ではありますが、初期段階よりも強く、頻度が増えることがあります。象牙質はエナメル質よりも柔らかく、多くの微小管が存在するため、虫歯がこの部分に達すると、刺激が神経に伝わりやすくなります。

3. 深部の虫歯(歯髄に達した場合)

虫歯がさらに進行して歯髄(歯の神経)が侵されると、痛みが持続的になり、特に夜間に強く感じることが多くなります。痛みはズキズキとした激しいものになり、歯を使って噛むと痛みが増すことがあります。また、温かいものに対しても痛みを感じることがあります。これは 歯髄炎と呼ばれる状態で、虫歯菌が歯髄に感染し、炎症が起きることで痛みが発生します。この段階では、神経が損傷している可能性が高いです。

4. 末期の虫歯(歯髄の壊死)

歯髄が完全に壊死した場合、痛みが一時的に和らぐことがありますが、感染が歯根や周囲の骨に広がると再び激しい痛みが生じます。この痛みは歯だけでなく、顎や顔全体に広がることもあります。炎症が進行して膿が溜まると、歯茎が腫れ、膿が出ることもあります。歯髄が死んでしまうと、痛みを感じる神経が無くなるため、痛みが一時的に消えます。しかし、感染が広がることで周囲の組織に影響を与え、新たな痛みが生じます。

歯周病による痛みの場合

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歯周病による歯の痛み

歯周病は、歯肉炎と歯周炎の2つの主な段階に分かれます。段階に応じて痛みの症状や進行が異なります。

1. 歯肉炎(初期段階)

歯肉炎は歯周病の初期段階で、痛みはほとんど感じないことが多いです。しかし、歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きやフロスを使用した際に出血しやすくなることがあります。歯ぐきが敏感になり、軽い違和感や不快感を覚えることもあります。歯垢(プラーク)が歯と歯ぐきの間に溜まり、そこに含まれる細菌が歯ぐきに炎症を引き起こします。

2. 歯周病(進行段階)

歯周病は歯肉炎が進行し、痛みが強くなることがあります。歯ぐきがさらに腫れ、触れると痛みを感じたり、噛むと痛みが生じることがあります。歯ぐきが下がり、歯の根が露出して知覚過敏が起こることもあります。また、膿が溜まると、歯ぐきからの出血や口臭が強くなることがあります。炎症が歯を支える骨や結合組織にまで広がると、これらが破壊され始めます。歯と歯ぐきの間に深いポケットができ、そこに細菌が溜まりやすくなり、炎症が悪化します。

3. 末期の歯周

痛みが非常に強くなることがあります。歯が揺れ動いたり、噛むと激しい痛みを感じることがあります。進行すると、歯が自然に抜け落ちることもあります。歯周病が進行して炎症が顎の骨や隣接する組織に広がると、顔の腫れや膿がでることがあります。

知覚過敏による歯の痛み

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知覚過敏による歯の痛み

知覚過敏(ちかくかびん)は、歯のエナメル質が薄くなったり、歯ぐきが下がることによって象牙質が露出し、外部の刺激に対して敏感になる状態です。この状態では、冷たいもの、熱いもの、甘いもの、酸っぱいもの、あるいは空気などの刺激に対して一瞬の鋭い痛みを感じることがあります。

1. 知覚過敏の痛みの特徴

知覚過敏による痛みは、一瞬で鋭く、針で刺されたような痛みが特徴です。いわゆる「しみる」といった症状です。痛みは短時間で収まることが多いですが、日常的に繰り返されるため不快感が伴います。

  • 知覚過敏を引き起こす要因
    • 冷たいもの: アイスクリーム、冷たい飲み物、冷たい空気など。
    • 熱いもの: 熱い飲み物や食べ物。
    • 甘いもの: 甘いお菓子や飲み物。
    • 酸っぱいもの: 酸性の食品や飲み物(例:柑橘類、炭酸飲料)。
    • 物理的刺激: 歯磨き、歯間ブラシやフロスの使用、噛む動作。

2. 知覚過敏の原因

  • エナメル質の損耗: 歯のエナメル質が磨り減ると、下にある象牙質が露出します。象牙質には微細な管(象牙細管)が多く存在し、これが歯の神経につながっているため、外部刺激が神経に直接伝わりやすくなります。エナメル質の損耗は、強い力での歯磨き、酸性飲食物の過剰摂取、歯ぎしりや噛みしめなどによって引き起こされます。
  • 歯ぐきの退縮: 歯周病や加齢、強い歯磨きなどで歯ぐきが下がると、歯の根が露出し、知覚過敏を引き起こします。
  • 歯の損傷: クラック(ひび)や亀裂が入った歯、摩耗、損傷した詰め物やクラウンなども知覚過敏の原因となります。

根管治療が必要な痛み

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根管治療が必要な痛み 

根管治療が必要な痛みは、歯の内側にある歯髄(神経や血管を含む組織)が感染または炎症を起こした際に発生します。この痛みは、かなり強いもので、適切な治療を受けなければ、さらに悪化する可能性があります。

1. 痛みの特徴

  • 持続的な痛み: 根管治療が必要な痛みは、ズキズキとした激しい痛みが特徴です。痛みは数時間から数日間続くことがあり、痛み止めでも十分に緩和されないことがあります。
  • 夜間の痛み: 特に夜間に痛みが強くなり、眠れないこともあります。横になると痛みが増すことが多く、この症状は歯髄の炎症が悪化しているサインです。
  • 温かいものに対する痛み: 根管治療が必要な歯は、冷たいものよりも温かいものに対して痛みを感じることが多いです。温かい飲み物や食べ物を摂取すると痛みが増し、歯に圧力をかけるとさらに悪化することがあります。
  • 噛むときの痛み: 噛むときや、歯に圧力をかけたときに痛みが増すことがあります。これは、歯髄が炎症を起こしているか、歯根周囲の組織が感染しているためです。

2. 根管治療が必要な主な原因

  • 深い虫歯: 虫歯が進行して歯髄まで達すると、細菌が歯髄内に侵入して炎症や感染を引き起こします。これが痛みの主な原因となります。
  • 歯の亀裂や破損: 歯に亀裂が入ったり、破損した場合、細菌が歯の内部に侵入しやすくなります。これにより、歯髄が感染し、痛みが生じます。
  • 歯髄炎: 歯髄が感染または炎症を起こす状態で、初期の段階では痛みが一時的か軽度ですが、進行すると激しい痛みが発生します。
  • 外傷: 歯に強い衝撃が加わると、歯髄が損傷し、炎症や感染を引き起こすことがあります。これも根管治療が必要となる原因の一つです。

詰め物やかぶせ物による痛み

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詰め物やかぶせ物による痛み

歯の詰め物やかぶせ物(クラウン)による痛みは、さまざまな原因によって引き起こされます。この痛みは、治療後すぐに感じることもあれば、時間が経ってから発生することもあります。

詰め物やかぶせ物による痛みの種類

  • 噛んだときの痛み: 詰め物やかぶせ物の噛み合わせが高すぎる場合、負担がかかり痛みを感じることがあります。この痛みは、噛むときや歯に圧力がかかるときに強く感じられます。
  • 持続的な鈍い痛み: 詰め物やかぶせ物の下で歯の神経が炎症を起こしている場合、持続的な鈍い痛みが生じることがあります。これは、詰め物が深く、神経に近い場所にある場合によく見られます。
  • 冷たいものに対する痛み: 詰め物やかぶせ物が原因で、歯が冷たいものに対して敏感になることがあります。特に、詰め物が金属製の場合、熱伝導率がいいため、温度変化に敏感で痛みを感じやすくなります。

詰め物やかぶせ物による痛みの原因

  • 高すぎる噛み合わせ: 詰め物やかぶせ物が歯に適切に合っていない場合、噛み合わせが高くなり、歯や顎に過度の圧力がかかることで痛みが生じます。これは、治療後に噛み合わせの調整が不十分な場合に起こります。
  • 歯髄の炎症や感染: 詰め物やかぶせ物の下で虫歯が進行していたり、治療中に歯髄が刺激されたりすると、炎症や感染が起こり、痛みを引き起こします。これにより、根管治療が必要になることもあります。
  • 接着剤や材料の刺激: 一部の接着剤や詰め物の材料が歯や歯ぐきに刺激を与えることで、痛みや不快感が生じることがあります。
  • 詰め物やかぶせ物の緩み: 時間が経つと詰め物やかぶせ物が緩んだり、接着が不十分になったりすることがあります。これにより、細菌が詰め物の下に入り込み、二次的な虫歯や炎症を引き起こすことがあります。
  • クラックや亀裂: 詰め物やかぶせ物に亀裂が入ると、歯の内部に圧力がかかり、痛みが生じることがあります。また、詰め物の下の歯自体に亀裂が生じる場合もあり、これが痛みの原因となることがあります。

親知らずの痛み

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親知らずによる痛み 

親知らず(智歯、第三大臼歯)は、通常17歳から25歳の間に生えてくる最後の永久歯です。しかし、親知らずが正常に生えるスペースが十分にない場合、痛みやその他の問題が発生することがあります。

親知らずの痛みの特徴

  • 局所的な痛み: 親知らずの周りに痛みが集中します。痛みは、歯ぐきや周囲の歯、顎のあたりに感じられ、鋭い痛みや鈍い痛みとして現れることがあります。
  • 腫れと炎症: 親知らずが部分的にしか出てこない場合、歯ぐきが腫れ、赤くなります。炎症が進行すると、痛みが増し、口を開けにくくなることがあります。
  • 広がる感覚の痛み: 痛みが耳や頭、喉の方に広がることもあります。これは、親知らずの位置や生え方が原因で神経を刺激するためです。
  • 噛むときの痛み: 親知らずが斜めや横向きに生えている場合、他の歯に圧力をかけてしまい、噛むときに痛みが生じることがあります。

親知らずの痛みの原因

  • 埋伏歯(埋没歯): 親知らずが顎の骨や他の歯によって埋もれている状態を埋伏歯と言います。完全に埋伏している場合でも痛みや圧迫感を感じることがあります。
  • 半埋伏: 親知らずが部分的にしか生えていない場合、歯ぐきが完全に覆っていないため、細菌が入り込みやすくなり、炎症や感染が発生します。この状態を「智歯周囲炎」と呼び、激しい痛みや腫れが伴います。
  • 周囲の歯への影響: 親知らずが斜めや横向きに生えている場合、隣接する歯に圧力をかけ、これが痛みや歯並びの乱れを引き起こすことがあります。
  • 感染と膿瘍: 親知らず周囲の歯ぐきに細菌が入り込むと、感染が進行し、膿が溜まることがあります。これが「膿瘍」と呼ばれ、非常に強い痛みを伴います。膿瘍が発生すると、発熱を伴うこともあります。
  • 嚢胞の形成: 埋伏している親知らずの周りに嚢胞(液体が溜まった袋状の構造)が形成されることがあります。嚢胞が大きくなると、顎の骨や周囲の歯に影響を与え、痛みや歯の移動を引き起こします。

顎関節症による痛み

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顎関節症による痛み 

顎関節症(がくかんせつしょう)は、顎の関節やその周囲の筋肉に問題が生じることで、痛みや不快感を引き起こします。

顎関節症による痛みの特徴

  • 顎の痛み: 痛みは顎の関節自体、または顎周囲の筋肉に感じられます。特に顎の関節がある耳の前の部分に痛みが集中することが多いです。
  • 頭痛: 顎関節症に関連する頭痛は、偏頭痛のように感じることがあり、こめかみや額のあたりに痛みが生じることがあります。
  • 耳の痛みや不快感: 耳の近くにある顎関節が炎症を起こすことで、耳の奥に痛みを感じたり、耳鳴りが生じることがあります。また、耳が詰まった感じや耳の圧迫感を感じることもあります。
  • 顔や首の痛み: 顎関節症があると、顔全体や首、肩にまで痛みが放散することがあります。これは、顎周りの筋肉が緊張したり、炎症が広がったりするためです。
  • 噛むときの痛み: 食事中や噛む動作を行うときに、顎関節や周囲の筋肉に痛みが生じることがあります。硬い食べ物を噛むと特に痛みが強くなることがあります。
  • 顎の関節音: 顎を動かすと、カチカチ、ポキポキといった音がすることがあります。この音は関節円板の位置異常や関節の摩耗によるもので、痛みを伴うことがあります。

顎関節症による痛みの原因

  • 筋肉の過緊張: 顎周囲の筋肉が過剰に緊張することで、痛みが発生します。これには、ストレスや歯ぎしり(ブラキシズム)、食いしばりなどが関係していることが多いです。
  • 関節円板のずれ: 顎関節内の関節円板が正常な位置からずれると、関節がスムーズに動かなくなり、痛みを引き起こします。これにより、関節の音がしたり、顎動かなくなることもあります。
  • 関節炎: 顎関節の炎症(関節炎)が原因で痛みが生じることがあります。これは、関節の摩耗や変形が進行し発生することがあり、関節リウマチや変形性関節症が関係する場合もあります。
  • 外傷: 顎や顔に対する外傷(例:事故や打撲)が原因で顎関節やその周囲の筋肉にダメージが生じ、痛みが発生することがあります。
  • 咬合不正: 歯並びや噛み合わせが悪いと、顎に不自然な力がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。これにより、関節や筋肉にストレスがかかり、痛みが生じます。

まとめ

いかがでしたか?
一概に「歯の痛み」と言ってもたくさん種類があり、様々な原因があることがお分かりいただけたと思います。
次回はその対処法や治療方法について詳しくご説明いたします。