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2023年06月18日

口腔外科ってどういうところ?

【口腔外科って何?】

口腔外科は、歯からがんまでさまざまな疾患、外傷や顎の形態異常、唾液腺疾患などの外科的な問題だけでなく、口の粘膜疾患、神経疾患、口臭症などの内科的な問題も包括的に扱います。

口腔外科に関連する異常は、食事や発音・会話などの機能的な制約に加えて、外見上の問題も引き起こします。口腔外科の治療によって口腔、顎、顔全体の自然な形態と機能が回復し、顔が元気で健康的な美しさを取り戻すことが可能です。したがって、口腔外科は機能的な障害と審美的な問題の両方を改善するお手伝いをする役割を果たします。

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意外と知らない口腔外科 

【専門的な治療が必要な疾患】

《腫瘍(良性腫瘍・悪性腫瘍)》

顎口腔領域には、軟組織や顎骨に生じる良性腫瘍と悪性腫瘍が存在します。良性腫瘍にはエナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍、歯牙腫、線維腫、血管腫などがあります。一方、悪性腫瘍には癌腫、肉腫、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、悪性唾液腺腫瘍などが含まれます。悪性腫瘍の多くは舌がん、歯肉がん(下顎歯肉がん、上顎歯肉がん)、口底がん、頬粘膜がんなどが一般的です。

この領域における悪性腫瘍は、咀嚼(食べ物をかみ砕くこと)、嚥下(飲み込むこと)、発音などの機能に関わる疾患です。治療は機能の保持だけでなく、外見的な側面も考慮したアプローチが必要です。そのため、腫瘍切除後には機能的な再建手術や形態的な修復が必要な場合があります。

【口腔外科で扱う疾患】



埋伏歯

永久歯においては、乳歯と比較して、萌出に関連した問題がよく生じます。これには先天的な欠如だけでなく、歯が実際に存在しているにもかかわらず、顎の中に埋まったまま出てこない場合も頻繁にみられます。これを埋伏歯と言います。特に親知らずでは、埋伏歯である可能性が高く、抜歯が必要になることがあります。

親知らずは退化の進行により、生える時期が非常に遅くなり、さらに最も奥に位置するため、萌出に関連した障害を受けやすく、異常な萌出が頻繁に起こります。先天的な欠如も一般的であり、歯が出てこなくても異常とはみなされません。また、埋伏することもよく見られます。特に下の親知らずでは、萌出していても傾斜した状態であったり、水平な位置で半分埋まっていたりすることがよく知られています。


治療について→

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埋伏歯のレントゲン 

親知らずが傾斜したり水平な位置で半埋伏していると、通常は第二大臼歯の後ろの面が不潔になり、放置すると深部に虫歯が発生する可能性があります。また、親知らずの周囲は清潔に保ちづらく、しばしば周囲炎という炎症を引き起こします。そのため、このような状態の親知らずは通常、抜歯が必要とされます。

埋伏してる親知らずも、歯列の異常や咬合の異常を引き起こす可能性があります。さらに、時折、埋伏している親知らずから嚢胞や腫瘍が発生することがまれにあります。そのため、原則的には抜歯が行われます。

智歯周囲炎
智歯(親知らず)の萌出に伴う歯冠周囲の炎症を智歯周囲炎と呼び、特に20歳前後の若い人に頻繁に発生する疾患です。

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歯茎に埋まっている親知らず

最も遅く、そして最も奥に位置する智歯は、萌出に関して異常を起こしやすく、完全に萌出せずに歯肉が一部分を覆ったままになることがよくあります。そのため、不潔な状態が続き、歯肉の炎症が起こりやすくなります。智歯周囲炎は周囲の口腔内の軟組織や顎の骨にも広がり、顔が腫れたり口の開閉が制限されたりすることがあります。


治療について→
抗生剤や痛みを抑える薬を使用し、うがい薬と組み合わせて炎症を緩和した後、余分な歯肉を取り除く(歯肉弁切除)ことにより、口腔内の炎症を治療します。もし萌出位置に異常があったり、炎症が繰り返されている場合は、智歯を抜去することになります。

膿瘍
膿が組織内に集まって形成される状態を膿瘍と呼びます。膿瘍は、むし歯や歯周病(歯槽膿漏)などの歯の問題に起因して感染し、炎症が生じることがほとんどです。膿瘍の中には、白血球や感染菌の残骸、組織の破壊や壊死物質、滲出液などが含まれた膿汁が存在します。膿瘍の位置によって、歯槽膿瘍、頬部膿瘍、顎下膿瘍、口底膿瘍などと呼ばれることがあります。

顎骨炎
虫歯が進行すると、歯髄炎という歯の神経の炎症が生じます。歯髄炎の後、歯の神経が壊死し、根の先端の穴を通じて感染が歯周組織に広がり、根尖性歯周炎と呼ばれる状態が生じます。根尖性歯周炎は、歯根の先端周囲に限局した炎症ですが、進行すると歯槽骨炎や広範な顎骨炎などへと進展していきます。感染が進行するにつれて、症状もより明確になり、局所的な赤みや腫れ、痛みに加えて全身的な発熱などの症状も現れるようになります。

重篤な症例では、感染は顎骨から周囲の口底や顎下部、頸部へと広がり、化膿性の急性炎症が生じます。これが蜂窩織炎と呼ばれます。さらに深刻な場合、上顎では眼窩や脳へと広がり、下顎では頸部を経由して縦隔炎が引き起こされたり、まれには最も深刻な敗血症が発生し、致命的な状態に至ることもあります。このような感染の重症化は、免疫力が低下している状態(例:糖尿病)では特に起こりやすくなります。

顎骨髄炎
上下顎の両方で顎骨骨髄炎が発生する可能性がありますが、特に下顎骨の臼歯部に頻繁に見られます。

この状態の原因は、歯に由来する感染(歯性感染)から嚢胞や腫瘍の二次感染によるものまでさまざまです。局所的な要因だけでなく、栄養障害や免疫機能の低下、代謝障害など、さまざまな要素が背景に関与することもあります。特に頭頸部領域の悪性腫瘍に対する放射線治療後、顎骨の細胞活性が低下した状態で感染が発生する骨髄炎は、放射線性骨髄炎と呼ばれています。

ビスフォスフォネート関連顎骨壊死

ビスフォスフォネートは、骨粗鬆症、乳がん、前立腺がんなどの骨転移、腫瘍関連の高カルシウム血症、および多発性骨髄腫などの治療に使用される薬剤であり、骨関連の問題の予防や治療、がんによる骨痛の緩和、高齢者の転倒による骨折の予防に効果があります。しかし、その副作用として、抜歯や歯周治療などをきっかけに顎骨壊死が発生することがあります。この副作用の特徴は、持続的な骨露出に伴う痛み、顎の重さやしびれ感、歯肉の腫れや膿の排出、歯の揺れなどですが、無症状であることもあります。症状が進行すると、痛みや感染が悪化し、病的な骨折や皮膚の開口部の形成などが起こります。

なお、ビスフォスフォネート以外の骨吸収抑制薬でも同様の症状が報告されています。

治療について→
現時点では確立された有効な治療法は存在しませんが、以下の治療法が推奨されています: 口腔内洗浄、抗菌薬の使用、疼痛管理、壊死した骨の摘出、顎骨の一部切除などが含まれます。ビスフォスフォネートの処方時には、患者に対して十分な情報提供と同意を行い、ビスフォスフォネートの処方医、歯科医師、口腔外科医の綿密な連携が重要です。また、ビスフォスフォネートの投与前の口腔ケアも重要な要素です。


口腔外科対応の疾患はまだまだあります。

また次の記事でご紹介させていただきます。