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2023年08月18日

初期の虫歯!治療すべき?経過観察?気になる疑問を徹底解説!

初期の虫歯を治療する際には、タービンと呼ばれる機械で歯を削る必要があります。歯質の内部に侵入した虫歯菌は、通常の歯磨きや薬剤によるケアでは取り除きにくいため、このようなアプローチが求められます。ただし、虫歯が初期段階に限定される場合、積極的な削り治療は必要ないこともあります。今日は、初期虫歯に関連する詳細な疑問について説明します。

そもそも虫歯の原因って?

和光市 歯医者 和光市デンタルオフィス 初期虫歯
初期でも進行のリスクがある初期虫歯

時折忘れ去られがちですが、虫歯は細菌の感染によって引き起こされる疾患の一つです。これは「細菌感染症」とも言えるでしょう。風邪や胃腸炎などと同様に、これらも細菌によって引き起こされることがあるため、虫歯も自然に治癒するのではないかと考える人もいるかもしれません。しかしこれは大きな誤解です。虫歯は自然な経過で治ることはなく、無視すれば症状は次第に進行する疾患です。ただし初期の段階では例外もあり、歯を削ることなく治療できることもあります。この点については、後ほど詳しく説明いたします。
歯の発症要因となる細菌は、歯の表面に形成される歯垢(プラーク)に居を構えて増殖します。歯垢は見た目は白くて柔らかいため、あまり汚れているようには見えませんが、実際には1グラムあたりに1000億個もの細菌が含まれています。口内は、肛門よりも細菌数が多い(つまり)と表現されることがありますが、これは事実です。しかしながら、細菌の数が多くても、優良な細菌が優勢な割合を占めていれば、必ずしも清潔ではないとは限らないことに留意してください。

初期虫歯はどのような状態?

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白く白濁している部分が初期虫歯

初期虫歯(C0)は歯のミネラルが漏洩してしまっている状態

歯に穴は空いていない

初期の虫歯(c0)の段階では、歯の表面にはまだ穴が開いておらず、舌で触れても他の健康な歯と同じくらいの滑らかさが感じられます。これが通常の虫歯と最も大きく異なる特徴です。少しでも穴が開いてしまったら、周りの歯の表面はぼそぼそした状態になり、その時点でエナメル質虫歯(C1)へ移行します。

痛みはない

初期の虫歯では、痛みは生じません。歯にはまだ穴が開いておらず、歯の神経につながる組織にダメージがないため、外部からの刺激に触れることがありません。

歯の表面に白濁が見られる

初期の虫歯状態では、歯の表面に白い斑点が見られます。このことは専門的には「白濁(はくだく)」または「白斑(はくはん)」と呼ばれており、これがプラークや歯石と勘違いされることもあるかもしれません。気になる方は、鏡を使用して確認してみてください。これらの白い斑点は、エナメル質が脱灰することによって引き起こされる現象です。

エナメル質表面の脱灰による変色

複雑な用語ですが、初期の虫歯においてエナメル質が溶解するプロセスを「表層下脱灰(ひょうそうかだっかい)」と称します。ただし、「溶け出す」という言葉を用いると、すでに歯に穴が開いているように誤解される可能性があります。この段階では、まだエナメル質は外側の層を超えてはいないため、「表層下」という意味で、歯の内部での脱灰現象となります。つまり、初期の虫歯の本質は歯の内部でエナメル質が溶け出している状態なのです。

初期虫歯は口腔内の健康には害がないのか

前述した通り、初期の虫歯の段階では、大きな健康被害はまず起こりません。しかし、白い斑点による審美上の影響があるかもしれません。しかし、虫歯は無視すれば徐々に進行し、やがて口腔内の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。唾液の石灰化作用によって改善する場合もあるものの、基本的には歯科医での適切な処置が推奨されます。
当医院では、そういった初期虫歯を見つけたら速やかに患者様にお伝えし、セルフケアの指導をさせていただいております。また、定期健診の際に必要だと判断した方には、歯のミネラルパックMIペーストを塗布させていただいております。もちろん、ご自宅でお使いいただける製品ですので物販も取り扱っております。
当医院ではそういったプラスアルファのケアを豊富に行っております。

MIペーストについて詳しくはこちらの記事から
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初期虫歯の治療方法は?

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初期虫歯の治療

歯科医師や歯科衛生士なら容易に初期の虫歯を検出可能です。3ヶ月ごとの定期検診で、初期虫歯を見逃すことは難しいでしょう。また、日常的に鏡で歯の状態を確認すれば、自己で発見することも可能です。上述の兆候を参考にして、毎日自己チェックを行いましょう。

初期の虫歯が見つかった場合、一般的な虫歯治療とは異なるアプローチが必要です。

ブラッシング指導

適切な歯磨き技術を身につけるために、当医院では患者様に合ったブラッシングの指導を提供します。自己流の歯磨きでは、避けられない磨き残しが生じてしまい、歯垢がたまってしまう可能性があります。歯科衛生士といった歯磨きの専門家から、自分に最適な歯磨き方法を学び、日常的なケアに取り入れましょう。特に後ろの歯の磨き残しには特に気を付ける必要があります。ブラッシングの指導を通じて、唾液による抗菌効果や自浄作用、再石灰化作用などについても知識を深めることができるでしょう。

PMTC

当歯科医院では、専門家による熟練の歯面清掃、すなわちPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)を提供しています。このプロセスでは、特別な機器とフッ化物配合の研磨剤を使用し、通常の歯みがきでは取りきれない歯石や成熟プラークなどを効果的に取り除き、全ての歯面を徹底的に清掃し研磨します。これにより、虫歯や歯周病のリスクを軽減し、健康な口内環境を促進する効果をもたらします。

また、歯並びが悪かったり、頑固な汚れが付着している場合には、当医院のクリアクリーニングが非常に適しています。この方法では、歯の表面を損傷させることなく、微細な領域まで全てのバイオフィルム(細菌膜)や着色汚れを取り除くことができます。その結果、外観が美しくなるだけでなく、予防措置としても極めて効果的です。


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フッ素塗布

初期の虫歯治療において、極めて重要な処置のひとつが「フッ素塗布」です。初期の虫歯状態では、エナメル質内部の脱灰が進行しているため、フッ素がもたらす再石灰化作用が効果的です。

フッ素の再石灰化作用は、骨膜の再石灰化を促進する効果を持つことは一般的に理解されています。ただし、エナメル質内部の脱灰による白いシミは、フッ素で直ちに消すことはできません。フッ素の役割は、エナメル質のさらなる溶解を抑制し、虫歯の進行を防ぐことです。すなわち、見た目を元の状態に戻すためには限界があることを理解しておく必要があります。また、初期の虫歯予防として有効な「シーラント」という処置も存在しますが、これは主に予防措置に含まれ、後に詳しく説明します。

初期虫歯の予防方法は?

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歯科衛生士による予防処置


初期虫歯の予防には以下の方法があります

適切な歯磨き

歯みがきは毎日の基本的なケアです。歯磨きは朝晩2回行い、歯ブラシの先端を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、歯ブラシの毛先が歯茎に当たるようにして歯垢を取り除きます。また、歯と歯の間や奥歯などにもきちんとアクセスしましょう。

フッ化物の使用

フッ化物(フッ素)入りの歯磨き粉やうがい薬を使用することで、歯の再石灰化を促進し、虫歯の進行を防ぐ効果があります。

バランスの取れた食事

糖分や粘着性の高い食品(特に甘いお菓子や飲料)の摂取を控え、食事の間に水を飲んで口内をすすぐことで、歯垢や酸によるダメージを軽減できます。

定期検診の受診

歯科医師による定期的な検診(通常は半年に1回)を受けることで、初期の虫歯や問題を早期に発見し、適切な対処ができます。

シーラント処置

シーラントは奥歯の噛み合わせの隙間に塗る薄いプラスチック被膜で、歯の溝を埋めて歯垢の蓄積を防ぎます。特に奥歯の虫歯予防に有効です。

健康的な生活習慣

喫煙や過度のアルコール摂取は口内健康に悪影響を及ぼすことがあります。健康的な生活習慣を維持することも予防につながります。

これらの方法を組み合わせて実践することで、初期虫歯のリスクを最小限に抑えることができます。また、個人の状態や口腔環境に合わせて、歯科医師や歯科衛生士と相談しながら最適な予防策を見つけることも大切です。