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2025年05月25日

むせやすくなった・滑舌が悪くなった…その症状、“口腔機能低下症”かもしれません

最近、こんなことないですか?

「食事中に、ちょっとしたことでむせることが増えた」
「お茶を飲んだだけなのにゴホッと咳き込んじゃった」
「昔より、なんだか滑舌が悪くなったような…?」
「うまく言葉が出てこなくて、もどかしい…」

どれも、よくある“ちょっとした変化”なんですけど、
実はこういったサイン、お口の中の機能が少しずつ弱ってきている証拠かもしれません。

この状態を「口腔機能低下症」って言います。
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、実はこれ、高齢の方に限った話じゃないんです。
40代、50代くらいから少しずつ変化が出てくる方もいらっしゃいます。

「年齢のせいかな…」って流してしまいがちですが、
放っておくと、噛む力や飲み込む力、会話のしやすさなんかにも影響が出てしまうことも。

でも大丈夫。
早めに気づいて、ちょっとしたケアやトレーニングを取り入れれば、機能を保つこともできるんです。

この記事では、そんな「口腔機能低下症」について、
・どんなサインがあるの?
・原因は?
・どうしたら予防・改善できる?
などを、やさしくわかりやすくお伝えしていきます。

「これ、自分のことかも…」と感じた方は、ぜひ読み進めてみてくださいね。

「口腔機能低下症」ってなに?

和光市 歯医者 和光市デンタルオフィス 口腔機能低下症
口腔機能低下症tpは

「口腔機能低下症(こうくうきのうていかしょう)」は、名前の通り、“お口の働きが少しずつ弱ってきている状態”のことをいいます。

具体的には、噛む・飲み込む・しゃべる・唾液を出すなどの機能が、徐々に衰えてくる状態のこと。
見た目ではわかりづらいことが多く、気づかないうちに進行してしまうのが特徴です。

この状態、実は「病気」として正式に位置づけられているのをご存知でしょうか?
厚生労働省の定める診断基準に基づいて、「口腔機能低下症」と診断されると、保険診療の対象となる場合もあります。つまり、ただの老化現象ではなく、きちんと医療で向き合っていくべき状態なんですね。

原因としては、もちろん“加齢”もありますが、それだけではありません。
たとえば──

  • 歯を失ったまま放置していたり
  • 噛み合わせがうまくいっていなかったり
  • 舌や頬の筋肉をあまり使わない食生活が続いていたり
  • 唾液の量が減ってしまう「ドライマウス」になっていたり
  • 運動不足や栄養不足、病気や薬の影響が関係していたり

こんなふうに、生活習慣やお口の中の環境、全身の健康状態などが複雑に絡み合って起きてくるんです。

そして厄介なのが、「ちょっとむせやすくなった」「話しにくい気がする」といった小さな変化から始まるため、自分では気づきにくいという点。
でも、放っておくと──

  • 誤嚥(ごえん)や誤嚥性肺炎のリスクが高くなったり
  • 噛む力が低下して、栄養が偏ったり
  • 会話がしづらくなって、社会とのつながりが減ってしまったり

と、お口だけでなく全身の健康や生活の質にも大きく影響してくることがあるんです。

だからこそ、「たしかに最近むせやすいな」「話すと舌がもつれるかも」といった“ちょっとした違和感”に気づいたときこそ、ちゃんとケアを始めるタイミングなんです。

こんな症状、思い当たりませんか?【セルフチェック】

和光市 歯医者 和光市デンタルオフィス 口腔機能低下症
口腔機能低下症かもしれない症状

なんだか最近、飲み込むのに時間がかかるな…
言いたい言葉がすぐに出てこなかったり、話していて口がもつれる感じがする…

「気のせいかな」「年齢のせいかな」って見過ごしてしまいがちな、ちょっとした違和感。でも、それ、口腔機能が少しずつ衰えてきているサインかもしれません。

口腔機能低下症は、見た目ではわかりにくいぶん、「あれ?なんとなく調子悪いかも?」くらいの感覚でスルーされがちなんです。でも、その“なんとなく”の積み重ねが、じわじわと日常に影響してきたりするんですよね。

ここでは、そんな“見過ごしがちなサイン”をチェックしてみましょう。あくまで簡易的なセルフチェックですが、いくつか当てはまる項目がある方は、ちょっとだけ意識してみてください。

1.食べ物や飲み物で、むせやすくなった

以前よりもよくむせるようになった…そんなときは、飲み込む力が弱っている可能性があります。「あっ、気管に入っちゃった!」って咳き込むあの感じ、思い当たりませんか?

2.会話中に言葉が出にくくなった/滑舌が悪くなった気がする

話していて、なんだか自分の舌がまわってない感じ。ちょっともどかしいですよね。これも、お口の機能が落ちているサインのひとつです。

3.食べ物が噛みにくくなった、食事に時間がかかる

硬いお肉とか、おせんべいとか、「ちょっとしんどいな…」って避けること、増えていませんか?噛む力が落ちると、食べる楽しみも減っちゃいますよね。

4.口の中が乾きやすい

朝起きたときや、ふとしたときに「なんかカラカラする…」と感じることが増えたら、それは唾液の分泌が減っているのかもしれません。口が乾くと、話すのも食べるのもなんだか不快ですし、虫歯や歯周病のリスクも高まってしまいます。

5.以前よりも口臭が気になる

「ちゃんと歯磨きしてるのになぁ…」って思っていても、口腔機能の低下が原因で、口臭が出やすくなることもあります。家族に指摘されたり、自分でふと気づいてモヤっとしたこと、ありませんか?


いくつ当てはまりましたか?
もし「え、ちょっと思い当たるかも…」と感じたら、それはもう立派な第一歩です。気づくことが何より大事ですから。無理に心配しすぎなくていいけど、放っておいても勝手に元通りにはならないこともあるので、「今、ちょっと気をつけてみようかな」と思ってもらえたら嬉しいです。

なぜ起こる?口腔機能が低下する原因とは

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口腔機能低下症を誘発する生活 

「口腔機能低下症」って聞くと、どうしても「年をとったから仕方ないのかな…」なんて思いがちですよね。
もちろん、加齢によって体のあちこちが少しずつ衰えていくのは自然なこと。でも実は、それだけじゃないんです。

たとえば、 やわらかいもの中心の食生活
最近は、手軽に食べられる便利な食事が増えて、昔みたいに「しっかり噛む」機会が減ってきていますよね。噛む回数が少ないと、知らないうちに噛む力も落ちてしまいます。

それから、 人と話す機会が減ることも大きな要因のひとつ。
コロナ禍をきっかけに在宅時間が増えたり、人と話す時間が少なくなった方も多いんじゃないでしょうか?話さない日が続くと、舌や唇、頬の筋肉って意外とすぐに衰えていってしまうんです。
「たまにしゃべると口が回らない…」なんて経験、思い当たる方もいるかもしれません。

また、 ドライマウス(口の中の乾燥)や 歯周病、虫歯といったお口の中のトラブルも、口腔機能をじわじわと低下させてしまいます。
特に歯周病で歯ぐきが下がってしまったり、噛むと痛い場所があると、無意識に使う筋肉のバランスも崩れていってしまうんです。

それから、ちょっと意外かもしれませんが、 糖尿病やパーキンソン病、脳血管疾患などの全身疾患も関係してくることがあります。病気そのものや、お薬の副作用によって、唾液の分泌が減ったり、筋肉の動きが鈍くなることもあるんですね。

そしてもうひとつ、見落としがちなのが 「生活リズムの乱れ」や「ストレス」
よく眠れていないと、全身の筋力や集中力が落ちて、なんとなくお口もうまく使えない…そんな日もありますよね。気づかないうちに疲れが溜まって、口腔機能にじわじわ影響してしまうこともあるんです。

放っておくとどうなるの?

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口腔機能低下症を放置するリスク 

「まぁ、今のところそんなに困ってるわけじゃないし…」
「加齢のせいなら、仕方ないよね…」
そうやって見過ごされてしまいやすいのが、口腔機能の低下の怖いところです。

でもね、本当に怖いのは、“今ちょっと不便”なことよりも、“このまま気づかずに進んでしまうこと”なんです。

たとえば、飲み込む力が弱くなっているのに気づかずにいると、誤嚥につながることがあります。
食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまうと、むせたり咳き込んだりするだけじゃなく、誤嚥性肺炎を起こしてしまうことも。これ、実は高齢者の入院原因の上位に入るくらい、侮れないリスクなんです。

そして、噛む力や舌の動きが衰えてくると、食べられるものがどんどん限られてきます。
やわらかいものばかりになって、栄養が偏ったり、食事が楽しくなくなったり…。
その結果、食欲が落ちて体力が落ちて、気力まで下がってしまうという悪循環に陥ってしまう人も少なくありません。

さらに、話すことへの億劫さも増してしまいます。
滑舌が悪くなって話しづらい→人と話すのが恥ずかしくなる→人との交流が減る…
そんなふうに、コミュニケーションの機会が減ってしまうと、気持ちまで閉じこもってしまうこともあるんです。

なんだか少し怖い話になってしまいましたが…
これは、決して「もう手遅れ」とか「怖がらせたい」っていう話ではありません。

大事なのは、「あれ?」と思ったタイミングで、気づいてあげること。
そして、少しずつでも“できること”を始めていくこと。

ちゃんとケアしていけば、口腔機能は維持できますし、低下した機能もある程度は回復できる可能性があります。
それくらい、早めの気づきと対策がとっても大切なんです。

次の記事では、口腔機能低下症を判断する検査方法と、その対策を詳しく解説するので、どうぞお楽しみに✨