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2025年12月21日

“歯周病だけじゃない”40代から歯を失う本当の原因―噛み合わせ・歯ぎしり・食いしばりが歯を壊す?―part1

歯を失う原因は、多くの方が一番最初に思い浮かべるの歯周病ではないでしょうか。

もちろん、歯周病はとても大きな原因の一つです。
でも、歯科医院で日々患者さんと向き合っていると、こんな声をよく耳にします。

「歯周病の治療はちゃんとしていたのに…」
「そんなにひどい歯周病じゃないと言われていたのに、歯がグラグラしてきた」
「気づいたら歯が割れて、抜くしかなかった」

実は40代以降になると、“歯周病だけでは説明できない理由”で歯を失うケースがぐっと増えてきます。
それは、年齢とともに少しずつ積み重なってきた
噛み合わせのズレ、歯ぎしりや食いしばり、被せ物の影響、歯の摩耗など、
いくつもの要因が重なって起こるトラブルです。

歯周病は、あくまで「きっかけ」。
そこに強い力が加わることで、歯を支える骨が耐えきれなくなったり、
歯の根にヒビが入ったり、ある日突然「もう残せません」と言われてしまうこともあります。

特に怖いのは、
これらの原因の多くが自覚しにくいということ。
痛みもなく、見た目も大きな変化がないまま、
歯は静かにダメージを受け続けていることが少なくありません。

この記事では、
「歯周病さえ治せば安心」ではない理由と、
40代以降から歯を失ってしまう“本当の原因”について、
できるだけわかりやすく、現場目線でお話ししていきます。

今、症状がない方にこそ読んでほしい内容です。
歯を失ってから後悔するのではなく、
「まだ守れる今」だからこそ知ってほしいことを、一緒に整理していきましょう。

歯周病は“原因のすべて”ではないという話

和光市 歯医者 和光市デンタルオフィス 歯を失う理由
歯周病だけではない

「歯を失う=歯周病が進んだから」
そう思われがちですが、実はこれは半分正解で、半分は見落とされがちな考え方です。

確かに歯周病は、歯を支えている骨や歯ぐきをじわじわと壊していく病気です。
進行すれば、歯がグラつき、最終的には抜歯が必要になることもあります。
ここまでは、多くの方がご存じだと思います。

でも、40代以降の患者さんを診ていると、
「歯周病だけが原因で歯を失った」というケースは、実はそれほど多くありません。

むしろ多いのは、
歯周病で“土台が弱くなったところに、別の負担が重なった”ケースです。

たとえば、歯周病で骨が少し下がっている状態。
そこに、噛み合わせのズレや歯ぎしり、食いしばりといった強い力が加わるとどうなるでしょうか。

本来なら耐えられていたはずの力でも、
支えが弱くなった歯には、想像以上のダメージになります。
結果として、
・特定の歯だけ急にグラつく
・被せ物の下で歯が割れる
・歯の根にヒビが入り、突然痛みが出る
といったことが起こります。

ここで多くの方が驚かれるのが、
「歯周病はそこまで重くなかったのに…」という事実です。

つまり、歯周病は“主犯”というより、
トラブルが起きやすい状態を作る“下地”のような存在。
本当の引き金は、力の問題だった、ということも少なくありません。

また40代以降になると、
長年使ってきた歯の摩耗、過去の治療で入れた被せ物、
知らないうちに変化している噛み合わせなどが重なってきます。

若い頃は問題にならなかったことが、
年齢とともに「歯を失う原因」に姿を変えて現れてくる。
これが、この年代特有の怖さでもあります。

だからこそ、歯周病の治療は終わり安心するのではなく、歯にかかる力まで含めて歯を守る視点がとても大切になってきます。

気づかないうちに歯を追い込む「噛み合わせのズレ」

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噛み合わせのズレの影響 

「噛み合わせに問題はありますか?」とお聞きすると、
多くの方がこう答えます。

「特に気になったことはないです」
「ちゃんと噛めています」

実はここに、40代以降の歯のトラブルが増える大きな落とし穴があります。

噛み合わせのズレは、“噛めない”という形では現れないことがほとんどです。
食事は普通にできるし、痛みもない。
だからこそ、長い間見過ごされてしまいます。

でも、歯はとても正直です。
力のかかり方に偏りがあると、必ずどこかに無理が出てきます。

たとえば、
・いつも同じ側ばかりで噛んでいる
・一部の歯だけが先に当たる
・被せ物を入れてから違和感がある
こんな状態が続くと、特定の歯にだけ負担が集中します。

特に注意が必要なのが、歯周病で支えが弱くなっている歯です。
噛み合わせのズレによる力は、健康な歯よりも何倍も大きなダメージになります。

歯科衛生士として診ていると、
「この歯だけ、やけに揺れているな…」
「骨の減り方が、この歯だけ不自然だな…」
というケースに、よく出会います。

そういう場合、原因をたどっていくと、
その歯にばかり力がかかる噛み合わせになっていることが少なくありません。

また40代以降は、
・歯がすり減ってくる
・昔入れた被せ物が合わなくなってくる
・歯が少しずつ動いてくる
といった変化が起こりやすい時期でもあります。

若い頃は問題なかった噛み合わせが、
年月をかけて少しずつズレ、
ある日「歯が耐えられなくなるライン」を超えてしまう。
これが、突然歯を失うように感じる正体です。

怖いのは、
噛み合わせのズレ自体が“痛みとして出ない”ことが多いという点。
違和感が出たときには、すでに歯や骨にダメージが蓄積していることもあります。

だからこそ大切なのは、
「痛くなってから」ではなく、
定期検診の中で噛み合わせをチェックしていくことです。

見た目だけでなく、
・どの歯に力が集中しているか
・歯の揺れ方に左右差がないか
・被せ物が力の流れを邪魔していないか
こうした点を確認することで、歯を守れるケースは本当に多いです。

自覚がないからこそ怖い「歯ぎしり・食いしばり」

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恐ろしい歯ぎしり食いしばり 

噛み合わせのズレと並んで、
40代以降の歯を静かに追い込んでいく原因が、歯ぎしり・食いしばりです。

「歯ぎしり、してますか?」とお聞きすると、
多くの方がこう答えます。

「家族に言われたことはないです」
「自分ではわからないですね」

実はそれも無理はありません。
歯ぎしりや食いしばりの多くは、寝ている間や、無意識に集中しているときに起こります。
つまり、本人が気づけないまま、何年も続いているケースがとても多いのです。

問題なのは、その“力の強さ”。
食事のときに歯にかかる力の、何倍もの負荷が瞬間的にかかると言われています。

この強い力が毎晩、毎日、歯に加わり続けると、
歯は少しずつ悲鳴を上げ始めます。

たとえば、
・歯がすり減って平らになってきた
・詰め物や被せ物がよく外れる
・歯がしみる、噛むと違和感がある
・朝起きたときに顎がだるい
こんなサインがある方は、要注意です。

特に注意したいのが、歯周病と歯ぎしりが重なっている場合です。
歯周病で支えが弱くなっている歯に、
歯ぎしりの強い力が加わると、
歯は「揺さぶられる」ような状態になります。

その結果、
・骨の吸収が一気に進む
・歯の根にヒビが入る
・最終的に歯が割れてしまう
といった深刻なトラブルにつながることもあります。

ここで多くの方が驚かれるのが、
虫歯でも歯周病でもないのに、歯がダメになってしまうという事実です。

歯科医院でレントゲンを撮って、
初めて歯の根のヒビが見つかることも少なくありません。
その時点では、残念ながら抜歯が必要になるケースもあります。

歯ぎしり・食いしばりは、生活習慣、ストレスと深く関係しています。
「力を抜こう」と意識するだけで止められるものではありません。

だからこそ大切なのは、
歯を守るための“力の逃がし方”を考えること。

歯科では、
・歯への負担を分散させる噛み合わせ調整
・就寝時に使うマウスピースのナイトガード
などを組み合わせて、歯を守るサポートを行います。

「何も症状がない今こそ、対策できる」
これが、歯ぎしり・食いしばりに対する一番の考え方です。

今日はここまで。次回もお楽しみに。
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